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FXでいくら稼いだら税金を払う?仕組みや確定申告のやり方

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鈴木 拓也

株式会社フィンテラス 代表取締役
日本証券アナリスト協会認定アナリスト
1987年生まれ、静岡県出身
明治大学理工学部卒業、東京工業大学大学院修士課程修了後、三井住友銀行に入行
東京本店にて為替のアルゴリズム取引、香港支店にて為替のカスタマーディーラー及び、インターバンクディーラー業務に従事し独立
FXや株式投資で運用し、金融資産は数億円
FXを中心とした投資教育のWebメディアやスマホアプリを運営
詳しいプロフィールはこちら

こんな疑問を解消します!

  • FXの税金の仕組みは?
  • FXでいくら稼ぐと確定申告が必要?
  • 確定申告の仕方は?

FXで一定以上の利益を得た場合には確定申告をおこない、所得額に応じた税金を納めなければなりません。

しかし、普段確定申告をしていないサラリーマンの場合は、そのやり方を知らないことがほとんどです。

中には「FXに興味があるものの確定申告などが分からないので躊躇している」といった方もいると思いますが、ここではそんな方に向けてFXの税金・確定申告の基礎知識を分かりやすくまとめました。

FXでいくらくらい稼ぐと確定申告の対象になるのか?納める税金はどれくらいなのか?などの疑問を持っている方は、ぜひこちらの内容を参考にしていってください。

FXと税金(確定申告)に関する基礎知識

それではまず、FXと税金に関する基礎的な部分から説明をしていきます。

FXでいくら稼ぐと税金がかかる?

冒頭でも触れたようにFXの利益は税金の対象となります。

正確には所得税と住民税の課税対象となりますので、一定以上の利益を得た場合には確定申告をおこなってください。

なお、「一定以上」とは以下の金額を指します。

確定申告が必要となる所得額

  • サラリーマン(給与所得者)の場合:年間のFX所得20万円以上
  • 自営業者など(非給与所得者)の場合:年間のFX所得48万円以上

ご覧のようにサラリーマンの場合だと、1年の間に「20万円以上のFX所得」を得ていた方が確定申告の対象となります。

どこかから給与を貰っているわけではない自営業者の場合は目安となるラインが48万円になりますが、これは基礎控除額の差です。

サラリーマンの場合は会社がおこなう確定申告時に給与所得控除を受けているため、自営業者より基礎控除額が少なく設定されています。

そして、ここで注目したいのが「利益(収入)」と「所得」の違いです。

利益(収入)とはFXの取引で稼いだ総額のことを指します。対して所得は「稼いだ総額から経費や各種控除額を差し引き最終的に残ったお金」のことを指す言葉です。

仮にサラリーマンの方が年間50万円の利益を得たとしても、経費やその他控除で35万円を差し引いた場合は「課税対象所得額が15万円」になるので確定申告が不要となります。

つまり利益と所得は必ずしもイコールにならないということを覚えておきましょう。

確定申告とは?

1年間に稼いだお金と支払った経費などを書類にまとめ、その結果として納めるべき税額を自ら税務署に申告する手続きのことを「確定申告」と呼びます。

サラリーマンの場合は基本的に勤め先の会社が確定申告をおこなうため、自分で確定申告をする機会はほとんどありません。

対して自営業者の場合は毎年決められた時期に確定申告をおこないますので、ある程度はその内容を理解していると思います。

しかし、実際には税理士や会計士に任せているというケースが多く、自分で確定申告をしようとしても何をどうすれば良いか分からない自営業者もいるはずです。

そこで、確定申告では何を記載すれば良いのか?を以下に分かりやすくまとめてみました。

確定申告の内容

  • 1年間で稼いだ利益を計算する
  • 1年間で支払った経費や各種控除額を計算する
  • 確定申告書類に上記の内容を記入する
  • その結果、支払うべき税額が算出される
  • 確定申告書類を税務署に提出し、申告した税金を支払う

※確定申告の期限は毎年2月16日~3月15日

これが確定申告手続きの流れとなります。初めての場合は難しく感じられますが「FXの利益と経費」だけを申告するのであれば、自分で書類を作成してもそこまで時間は掛かりません

ということで、次に確定申告に必要なものを見ていきましょう。

確定申告に必要なものは?

確定申告をするときには以下の書類等を用意してください。

確定申告時に用意するもの

  • 確定申告書類:税務署で取得できる(もしくは国税庁HPからダウンロード)
  • マイナンバー情報:マイナンバーカードもしくはマイナンバー記載の住民票(写し)
  • 年間損益報告書:利用しているFX会社のサイト上で取得できる
  • 計上した経費の領収書:提出義務はないが保管義務はある
  • 源泉徴収票:勤め先から発行してもらう(給与所得者の場合のみ)
  • その他:各種控除を利用する場合は控除証明書を用意(支払い領収書など)

こちらが確定申告に必要なものとなりますが、最低限「確定申告書類」「マイナンバー情報」「年間損益報告書」の3つがあれば申告はできます。

なお、計上できる経費や控除がほとんどなければ確定申告書類に利益と微細な経費、課税所得と納税額を記入するだけとなりますので1~2時間で作業が終わります。

FXで利益を得たときの税金計算方法

続いてはFXの利益に掛かる税率や税金の計算方法を紹介していきます。

なお、国内FXの場合は税率が一律「20.315%」なので、そこまで計算が複雑ではありません。

FXの利益に対する税率

国内FX会社の口座を利用して得た利益は「雑所得」となります。そして、この雑所得は「申告分離課税」の対象として扱われます。

申告分離課税の税率は一律「20.315%」です。その内訳は以下のようになっています。

申告分離課税の内訳

所得税:15%
住民税:5%
復興特別所得税:0.315%

ものすごく簡単に言えば、FXで年間100万円の利益を稼いだときの納税額は「203,150円」になるということです。

ただし、これは経費や各種控除額を考慮しない場合となります。実際には利益から経費や各種控除額を差し引いた金額に税率を掛けますが、その詳しい内容を次に説明していきましょう。

FXの利益に対する納税額の計算方法

FXで稼いだ利益から納税額を算出する計算式は以下の通りです。

納税額の計算方法

  • FXの年間利益-経費-各種控除額=課税対象所得額
  • 課税対象所得額×20.315%=納税額
  • 確定申告時期に支払う所得税は15.315%の税率で求める

仮に年間100万円の利益に対して20万円の経費を計上した場合は「80万円×20.315%=162,520円」が納めるべき税額となります。

先ほど何も差し引かずに計算した場合は納税額が20万円強となっていましたので、これだけでもおよそ4万円弱の節税効果が生まれるということです。

なお、確定申告書類に記載するのは所得税額のみで、住民税については申告書をもとに各自治体から6月ごろに納付書が送られてきます

確定申告書類には住民税の支払い方を指定する項目もありますので、給与から天引きしたい場合は「特別徴収」、自分で支払いたい(会社にバレたくない)場合は「普通徴収」を選択してください。

FXの利益から差し引ける経費について

FXの利益から差し引ける経費には以下のようなものが挙げられます。

FXの経費となるもの

  • 各種手数料:取引手数料や銀行の振込手数料など
  • 通信費:FX取引のために使ったネット回線代など
  • パソコンやスマホの本体代金:FX取引のために購入したもの
  • 書籍代:FX関連の本など
  • セミナー代:FXの勉強のために参加したセミナーの受講代
  • ツール代:自動売買ソフトやシグナルツールなどの代金
  • その他機材:パソコンを置くためのデスクや周りの照明など

ご覧のようにFXの経費には意外と色々なものが計上できます。

ただし、FXのために購入したパソコン代金が10万円以上20万円未満の場合は「3年もしくは4年」に分割して経費計上しなければならないので注意しましょう。

※10万円以上のパソコンは「資産扱い」となり一括償却資産(3年)か耐用年数による減価償却(4年)を選ぶことになる

※20万円以上のパソコンは耐用年数による減価償却(4年)になるが、青色申告者なら「少額減価償却資産の特例(一括計上)」が使えることもある

また、当然のことながらFXに関係のない経費は計上できません。本来は計上できないものを経費として扱い、それが後から発覚した場合には追徴課税を請求される可能性が出てきます。

そのため、確定申告するときは「FXのために使ったことが証明できるもの」だけを経費計上してください。

FXトレーダーが確定申告するときの流れ

続いては初心者FXトレーダーのために確定申告の流れを詳しく紹介していきます。

こちらの流れを見れば確定申告のやり方が分かると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

①確定申告書類などを用意

まずは確定申告に必要な書類を集めていきましょう。

記入のやり方:国税庁HP

確定申告書類にはA様式とB様式の2つがありますが、B様式であれば所得の種類に関わらず使用できるのでB様式を取得します。

次にマイナンバー情報が分かるものを用意しますが、マイナンバーカードがあればそれのコピーでOKです。マイナンバーカードを持っていない方は区役所や市役所でマイナンバー記載の住民票を発行してもらいます。

続いて必要となるのがFXの年間利益が分かる損益報告書です。こちらは利用しているFX会社のサイト上でダウンロードできます。

あとは経費として計上する領収書やレシート、各種控除証明書を用意すれば準備完了です。

②利益額・損失・経費などの計算

書類が準備できたらFXの年間利益、その他の投資の損失や経費を計算します。

ちなみに国内の業者を利用したバイナリーオプション取引やCFD取引は損益を合算できますので、仮に損失が出ていた場合はFXの利益から差し引くことが可能です。

③確定申告書類への記入

用意した確定申告書類Bに年間の利益や経費の金額を記入していきます。

項目を埋めていくと最終的に「課税対象となる所得額」が算出されますので、その所得額に所得税率(15%)を掛ければ納税する金額が分かるといったイメージです。

④納税額の確認

確定申告書類をすべて書き終えたら納税額の確認をしましょう。なお、確定申告書類に記載されているのは通常の所得税と復興特別所得税の2つとなります。

この2つの税額を合算した金額が確定申告書類の提出と同時期に納める税額ということになりますので、あらかじめ用意しておいてください。

⑤確定申告書類の提出と納税をおこなう

準備した確定申告書類は最寄りの税務署へ提出することになります。郵送も可能ですが、その際には控えを返信してもらうために「切手を貼った返信用封筒」も同梱しましょう。

なお、税務署窓口まで直接行けばその場で確定申告書類の提出と納税を一度に済ませられるので便利です。

もちろん確定申告書類を電子申告(e-tax)という形で提出することもできますが、手続きが非常に面倒なので紙媒体での申告をおすすめします。

FXの税金や確定申告に関するQ&A

それでは最後にFXの税金や確定申告に関する疑問をQ&A形式で解消していきます。

FXの利益を隠したままだとバレる?バレない?

FXで得た利益を隠すことは基本的にできません。

FX会社は顧客との取引内容を役所に提出する義務があり、その情報を持っている税務署は誰がどれくらいの利益を得ているのかを把握しています。

つまり自分がどれだけ所得を隠しても最終的にはバレるということです。所得隠しが悪質な場合には重加算税の徴収や「脱税の罪」による逮捕が待っていますので、素直に確定申告を済ませてください。

確定申告の期限を過ぎた場合の対処法は?

うっかり確定申告期限が過ぎていた場合もあると思いますが、気付いた時点で確定申告をすれば軽微な追徴課税のみで終わります。

なお、過去の分に関しては最大5年前まで遡って確定申告をすることが可能です。ちなみに確定申告をしていない状態で税務調査に入られると無申告加算税が追加されますので、自ら申告をおこなった方が結果的に少ないダメージで済みます。

損失が出た場合でも確定申告をした方が良い?

FXの損失は翌年以降に繰り越し控除として扱えます。仮に1年目の損失が20万円だった場合は、2年目の利益から前年のマイナス20万円を差し引けるということです。

なお、損失の繰り越し控除は翌年から3年間使えますので、たとえFXの損益がマイナスでも確定申告はしておきましょう。

FXを始めるなら税金や確定申告の知識も身につけておくこと

FXに挑戦する上で必要な税金と確定申告に関する知識や情報を紹介してきました。

ご覧いただいたようにFXの利益は税金の対象となりますので、所定の手続きが必要となります。

初めて確定申告をする際はハードルが高く感じられると思いますが、実際にはそこまで難しいこともありません

また、それなりに利益が出ている場合なら税理士に依頼してしまうのもひとつの手です。

どちらにしても確定申告の手間を理由に投資を始めないのはもったいないことなので、FXに興味があるならぜひ一度チャレンジしてみてください。

  • この記事を書いた人

鈴木 拓也

株式会社フィンテラス 代表取締役
日本証券アナリスト協会認定アナリスト
1987年生まれ、静岡県出身
明治大学理工学部卒業、東京工業大学大学院修士課程修了後、三井住友銀行に入行
東京本店にて為替のアルゴリズム取引、香港支店にて為替のカスタマーディーラー及び、インターバンクディーラー業務に従事し独立
FXや株式投資で運用し、金融資産は数億円
FXを中心とした投資教育のWebメディアやスマホアプリを運営
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