こんな疑問を解消します!
- FXで初心者におすすめの通貨ペアは?
- 通貨ペアを選ぶ時のポイントは?
- 各通貨ペアの特徴は?
この記事では、メガバンクで為替ディーラーを経験し、現在は現役プロトレーダーである筆者が、「FX初心者におすすめの通貨ペア」や「通貨ペアを選ぶ時のポイント」について紹介していきます。
それぞれの通貨ペアには、値動きに関して異なる特徴やクセがあります。
それらを理解して通貨ペアを選択することで、FXで有利にトレードを行っていくことができますよ。
FX初心者が通貨ペアを選ぶときのポイント
FX初心者が通貨ペアを選ぶときのポイントは3つです。
- 取引量
- スプレッドの幅
- ボラティリティの大きさ
それぞれのポイントについて分かりやすく解説していきましょう。
①取引量
取引量が多い通貨ペアは「安定した値動き」を見せますので、チャート分析がしやすいといったメリットがあります。
ちなみに世界でもっとも取引量が多い通貨は米ドルです。次いでユーロ、英ポンド、日本円といった経済主要国の通貨がきます。
そのため「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」などのメジャー通貨ペアが、初心者にはおすすめと言えます。
なお、新興国の通貨は国の情勢によって「過去のデータにない突発的な値動き」を見せることが多々あります。(新興国の通貨:トルコリラや南アフリカランドなど)
全体の取引量が多い通貨は、ひとつの要因だけで大きな値動きを見せることはあまりありません。しかし、取引量の少ない通貨だと、大口の注文が入っただけでも派手な値動きをする可能性があります。
こうしたことからも、テクニカル分析によって取引の方向性を決めるトレーダーの場合は、「取引量が多い通貨ペア」を選んだ方が安心と言えるわけです。
②スプレッドの幅
スプレッドは通貨ペア毎に異なりますが、取引量が多いメジャー通貨ペアほど狭く、逆に取引量が少ないマイナー通貨ペアほど広いです。
そして、当たり前ですが、スプレッドは実質的な取引手数料と同じなので、スプレッドの幅が狭い通貨ペアほど利益が取れやすく有利です。
上図は国内FX会社「DMM FX」の参考スプレッド画面ですが、ご覧のように取引量が多い「米ドル/円」のスプレッドは0.2銭で、取引量が少ない「米ドル/カナダドル」のスプレッドは1.8pipsとやや広めに設定されています。
もちろん、マイナーな通貨ペアを選び、大きな利益を狙うというのも完全に悪いわけではありません。
このあたりは個人の考え方次第ですが、初心者の場合は「通貨ペアによってスプレッドの広さは異なる」という点を覚えておいてください。
比較記事:FXスプレッド(手数料)をFX会社のタイプ別に徹底比較
③ボラティリティの大きさ
ボラティリティとは「価格変動率」を表す言葉です。ボラティリティが大きい通貨ペアは価格の変動幅も増えるため、その差額によって大きな利益を手に入れられます。
ただし、ボラティリティが大きな通貨ペアは不規則な値動きをすることもあるので、分析がしづらいといった側面もあります。対してボラティリティが小さい通貨ペアは、安定した値動きをするので分析がしやすく初心者向きと言えるでしょう。
ボラティリティの大きさから通貨ペアを選ぶ場合には市場の動向を分析する「ファンダメンタルズ分析」が重要となりますので、取引する通貨ペアに絡んだ国の経済情勢はチェックしておきましょう。
FX初心者におすすめの通貨ペアと特徴とは
それではここから「初心者におすすめの通貨ペア」を紹介していきます。
それぞれの通貨ペアにおける特徴を解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
①米ドル/円の通貨ペア
「米ドル/円」は日本人トレーダーがもっとも取引をしている通貨ペアです。アメリカと日本という経済大国同士の通貨ペアなので、値動きが安定していてチャート分析もしやすいといった特徴を持っています。
日本やアメリカの経済ニュースは日本人にとって身近なものであり、大きなトピックが発生したときにもすぐ対応できるので初心者にはおすすめの通貨ペアと言えます。
また、「米ドル/円」の通貨ペアはどのFX会社でもスプレッド幅が狭いため、コストを抑えた取引が可能です。トレンドが起きると継続しやすいところも特徴のひとつで、流れに乗った順張りで稼ぎたい方は「米ドル/円」を選んでみてください。
ちなみに「米ドル/円」の価格がよく動くのは東京市場が開場される午前9時過ぎから10時ごろ、ニューヨーク市場が開く22時から23時ごろとなっています。
特にアメリカの経済指標が発表される22時~24時あたりは大きな値動きが期待できますので、チャートをしっかり確認しておきましょう。
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②ユーロ/円の通貨ペア
「ユーロ/円」は「米ドル/円」と同じような特徴を持った通貨ペアです。基本的に値動きは安定していて、不規則な価格変動というのはあまり発生しません。
ちなみにユーロは欧州諸国の経済情勢によって価値が変化します。特に欧州内で大きな経済シェアを誇るフランスやドイツあたりの経済指標は、「ユーロ/円」の価格に影響を与えますのでチェックが必要です。
なお、「ユーロ/円」の値動きが活発になるのは東京市場が開く午前9時から10時ごろ、ロンドンやヨーロッパ各国の市場が開く夕方16時ごろとなっています。
③英ポンド/円の通貨ペア
「英ポンド/円」は「米ドル/円」や「ユーロ/円」よりもボラティリティが大きく、激しい値動きを見せるところが最大の特徴です。昔から「じゃじゃ馬通貨ペア」と呼ばれるほど価格の変動率が高く、1日の間に2~3円ほど動くときもあります。
そのため、短期的に大きな利益を得るにはおすすめの通貨ペアと言えます。ただし、予想とは逆方向に値動きが進んだ場合には、想定外の損失が出る可能性もありますので注意が必要です。
そんな「英ポンド/円」は夕方16時~24時ごろにかけて値動きが活発になります。世界的に見ると英ポンドの流通量はそこまで多くないので、ロンドンのトレーダーたちが取引を始めるタイミングでレートが変動し始めるといったイメージです。
④ユーロ/米ドルの通貨ペア
「ユーロ/米ドル」は世界でもっとも取引されている通貨ペアです。そのため、値動きが非常に安定していて突発的な価格変動が起きにくい通貨ペアとして知られています。
また、「米ドル/円」と同じようにスプレッドが狭く設定されているので取引コストが安く済みます。さらに「ユーロ/米ドル」は過去のデータと似た値動きを繰り返すことが多く、テクニカル分析を試すための通貨ペアとしてもおすすめです。
そんな「ユーロ/米ドル」の価格はヨーロッパ諸国とアメリカの経済指標発表時に大きく変化します。時間帯で言えば夕方16時過ぎ、夜22時過ぎが狙い目となっていますので、そのタイミングではチャートを注視しておきましょう。
⑤豪ドル/円の通貨ペア
「豪ドル/円」のボラティリティは中程度で、1日の間に何度か取引のチャンスとなるトレンドが発生します。
ちなみに豪ドルの取引量は米ドルやユーロほど多くありませんが、日本人トレーダーがよく取引をするので、オセアニア市場が開く朝7時~8時ごろから朝10時ごろの間が狙い目です。
ただし、稀に大きな値動きを記録することもありますので注文量には注意しましょう。価格が安いからといって普段より注文量を増やすと予想外の損失が出る可能性もあります。
スワップポイント狙いのおすすめ通貨ペア
続いてはメジャーな通貨ペアよりスワップポイントが高い、高金利通貨と呼ばれる通貨ペアを紹介していきます。
スワップポイントとは?
2つの通貨における「金利差額」のこと。高金利の通貨を買って低金利の通貨を売った場合は、金利差額をプラスのスワップポイントとして受け取れる。
FXトレーダーの中にはこのスワップポイントで稼ぐことを目的としている方も多くいます。
なお、高いスワップポイントが設定されているのは、主に「トルコリラ」「メキシコペソ」「南アフリカランド」の通貨ペアです。
それぞれの特徴や取引する際のポイントを見ていきましょう。
スワップポイントのFX会社比較は、以下の「【最新】FXスワップポイント比較」の記事をご覧ください。
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①トルコリラ/円の通貨ペア
トルコリラは新興国通貨の中でも特に金利が高く、スワップ狙いのトレードに適した通貨として昔から人気があります。
スワップポイントが特に高いみんなのFXでは、1万通貨の買い注文をおこなった場合は1日あたり「15円」のプラススワップポイントが受け取れる計算となっています。(2023年1月9日時点)
なお、仮に10万通貨分の買い注文を90日保有し続けたとすると「150円×90日=13,500円」のスワップ利益を得ることが可能です。
トルコリラは価格が安いので数千円~数万円の自己資金からこうしたスワップ狙いのトレードが出来ます。
②メキシコペソ/円の通貨ペア
メキシコのペソも金利の高い通貨として有名です。
1通貨あたりの価格もトルコリラと同じくらいなので、低資金からスワップ狙いのトレードが出来ます。
また、メキシコペソの場合はスプレッドの狭さも魅力的な部分です。ボラティリティが高く値動きが活発なので、通常の取引でも十分利益を狙えます。
ちなみにメキシコペソでプラスのスワップが貰えるのは買い注文となりますが、ここ数年は価格が上昇傾向です。場合によっては取引利益とスワップ利益をダブルで稼げるかもしれません。
③南アフリカランド/円の通貨ペア
南アフリカランドもトルコリラやメキシコペソと並ぶ、高金利通貨です。
2020年に最安値を更新しましたが、その後レートが持ち直して上昇傾向にありますので今が狙い目とも言えます。
また、ランドを発行する南アフリカはプラチナや金といった鉱物資源が豊富な国です。
今後、鉱物資源の価値が高まれば南アフリカランドのレートが一気に上昇する可能性もありますので、中長期的な投資を考えている方にはおすすめの通貨となっています。
通貨ペアを選ぶ際の注意点
それでは最後に通貨ペアを選ぶ際の注意点を簡単にまとめていきます。
ボラティリティの大きい通貨ペアは価格の急変に注意
ボラティリティ(価格変動率)が大きい通貨ペアは多くの利益を狙える一方で、価格が急変するリスクも含んでいます。
トレンドがいきなり転換するケースも多いので、注文後に放置するようなトレードには向きません。
スワップポイントの変化は逐一チェック
プラスのスワップポイント狙いでトルコリラやメキシコペソなどに投資をする場合は、日々変化するスワップレートをよくチェックしておきましょう。
また、利用するFX会社によってもスワップポイントは変わりますので、スワップ狙いのトレードをするなら出来るだけ条件の良いところを選んでください。
必要証拠金が少なくても注文量には気を付けること
1通貨あたりの価格が安い通貨ペアを取引する場合は必要証拠金が少なくて済みます。しかし、予想とは逆方向に値動きが進んだときには証拠金額に関係なく損失が発生しますので注意しましょう。
おすすめのFX会社については、以下の「FXおすすめ口座比較」の記事をご覧ください。
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特にトルコリラやメキシコペソ、南アフリカランドといった流動性の高い通貨は値動きが不規則です。そのため、日頃からチャートはよく確認しておいてください。
FX初心者はメジャー通貨ペアから取引を始めるのがおすすめ
FX初心者におすすめの通貨ペアについて解説してきました。ご覧いただいたようにFXでは通貨ペア選びがとても重要となってきます。
また、通貨ペアはそれぞれ異なる特徴を持っていますので、値動きのクセを理解しておくことも大切です。初心者の場合は「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」のようなメジャー通貨ペアから取引を始めるとFXの仕組みが分かってくると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。